2025年バークシャー決算:保険ビジネスを読む
2025年のバークシャーの業績のうち、今回は保険ビジネスに焦点を当てます。
結論
これまで保険事業は市場環境に恵まれ、値上げによって収益を伸ばしてきました。しかし、どの事業も今後の見通しは芳しくありません。
保険事業の意義:規模より規律
保険事業における利益の意味は、他の事業とは異なります。多額のフロート(保険料として先に受け取る資金)を獲得し、そこからさらに運用益を得ることで、実質マイナス金利で投資原資を確保できる点に本質的な価値があります。この考え方に基づき、バークシャーは事業規模の拡大よりも規律を重視する方針を取っています。その結果、今後の事業環境ではフロートの規模自体は縮小しやすい状況であります。
GEICOの課題
事業改善の観点では、GEICOは顧客データ収集の面で競合に先行を許しており、価格設定の精度で遅れが生じています。競合へのキャッチアップが目標として掲げられているものの、実現には時間がかかりそうです。今後の進捗を注視する必要があります。
フロート増加がもたらす投資余力
フロートを投資原資として見た場合、今期は利益で70億ドル、フロートの増加で50億ドル、合計120億ドルの投資原資が新たに生まれています。日本円換算では約2兆円規模です。
比較として、五大商社の買収総額が150億ドルであったことを踏まえると、バークシャーがいかに巨大な投資余力を確保しているかが分かります。この資金の全額ではないにせよ、バークシャーの厳格な基準を満たす上場・非上場株式に投資されるとすれば、考えただけでも物凄いものかと思います。同時に、バフェットやアベルが指摘する通り、この「規模の大きさ」自体が会社の成長を阻害する足かせになっていることも、あらためて実感させられます。
では、業績を載せますので、ご参考ください。
全体業績

保険事業の業績

・保険会社が成功するためには、顧客志向、長期的視点、規模でなく効率性を追求するが必要である。
・バークシャーの保険部門は、多額の資本、子会社CEO自主性、規律を重視、長期的視点をもっている。
・結果、フロートは171B→176Bまで増えている。10年前から比べると88B増えている。
・2025年の損害保険事業における合算比率(コンバインド・レシオ)は87.1%となり、当社の5年平均(90.7%)、10年平均(93.0%)、20年平均(92.2%)と比較しても極めて良好な数値。
GEICO

・価格上昇により、利益率上昇。一方で顧客喪失した。これは主にバークシャーが正しく価格設定が難しい顧客層。
・競合他社の顧客単価設定の精度が向上することより悪い顧客が流れ込みやすい環境にある。GEICOの現在のできる価格設定を行うことで、顧客流出が続く見込み。競合他社に追い付くには時間がかかるとアベルが手紙で説明。
・ポリシーとしては、低コスト・プロバイダー。
BH Primary
・年度初めの需要は堅調だった。資本が流入してきて、価格が低下傾向。
・引き受けの規律を最優先にするため、引受額が低下傾向。今後もこの傾向は続く。

BHRG



・需要が旺盛のため、資本が流入。さらに大規模災害がないため、Propertyの価格が低下。
・価格の上昇をインフレが上回っている。
・引き受け保険料の低下が進む。
以上