2025年のアベルの手紙の文化と価値観の章を読みました。
結論としては、バフェットとマンガーの個人的な考え人生観がしっかりと後任者に伝わり、それが会社の制度として組み込まれていることがわかる内容でした。しかし、これらの準備してきたものがしっかりと維持できるかは、今後の課題と感じました。
バフェットがかつて語っていた趣旨に近いですが「バークシャーは現在の規模が大きくなったため、今後は過去のような圧倒的な超過リターンを再現するのは難しい。しかし、市場平均をわずかに上回る程度のリターンを維持したい」とありました。アベルの手紙の内容が高い水準で維持できるなら、バフェットの思いは実現できるのではないかと感じました。
アベルの手紙の文化と価値観の章は、文化を仕組として守ろうとすることがわかる文章です。日本語訳を載せますので、よかったら、読んでください。なお、構成内容の概要を記載すると以下の通りです。
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【概要】
バークシャーを定義し、目標を示しています。
バークシャーは、資本を合理的かつ効率的に配分するために意図的に設計された、唯一無二のコングロマリットと述べています。株主の皆様の資本の卓越した管理者であり続け、長期にわたってバークシャーの1株あたりの本質的価値の成長を最大化するという目標としています。
全従業員が「パートナーシップの精神」を持っており、まるで自分自身の資産であるかのように株主の資産を管理しています。私たちは10年単位で考え、規律を持って行動することが記載されています。これは単に信念でなく、システムとしても機能していると述べています。
以下の6つの価値観が列挙されています。なお、筆者は「分権型モデル」が初めにくるのは、「権限を渡すからこそ、誠実さが試され、機能する」と推察しています。
・分権型モデル
信頼を勝ち取った者に自律性を与える仕組みであり、与えられた者には業績に対する説明責任と誠実さを求めています。これにより、官僚主義を最小限に抑え、現場を最もよく理解し、責任を持っているものが、意思決定を行うことができ、それはより迅速に、より深い知見と強い確信を持ってなされます。
結果として、優秀なリーダーを惹きつけ、バークシャーの競争上の優位性につながるとされています。
・誠実さ
誠実とは『考え、語り、行動する』ことの一貫性(約束を守ること)によって証明されるものであり、バークシャーの評判(=株主からの信頼)を守ることにつながります。また、誠実さは、日々獲得し、再獲得し、維持されなければならない能動的な資質と記載されています。正しいことを行うとは、自らの誤りを正すことも意味すると記載されています。誠実さを維持することに一切の妥協をしないことが記載されています。
・財務の健全性
要塞のようなバランスシートを維持することが明言されています。これにより、最も過酷な状況下であっても義務を果たすことを可能にし、好機が訪れた際には迅速な対応を可能になり、バークシャーは世界の金融システムにとって頼れる存在であり続けると記載されています。CEOの職務として、流動性の水準と資本投下を管理することがあげられています。
・資本の規律
リスクに対して十分なリターンが期待できる機会にのみ、株主の資本を投じる明言しています。投資機会は、既存事業の拡大、新規事業の買収、株式投資、そして自社株買いの4種類が列挙され、「バークシャーの1株あたりの本質的価値を、永遠に続く時間軸の中でいかに成長させられるか」という観点から評価するとのことです。株主の利益のために適切な機会を追求するにあたって、忍耐強く、規律を守り続けると記載されています。
・リスクマネジメント
リスク管理は各事業にゆだねており、それぞれの規模や複雑さに合った対応ができるように設計されています。本社は、バークシャーの評判・財務的強靭さ・長期的な機会を実現する能力を脅かすリスクに焦点を当てて、組織全体で引き受けるリスクの総量を意図的にコントロールしているとのことです。ただ、バークシャーは、他社と比べ受け入れるリスクの総量は多いと記載されています。具体的には、アジットのリスクの管理と価格設定の基準、比類なき財務力のおかげで、他社が引き受けられないリスクを引き受け、それが他社との競争優位につながっていると記載されています。
・オペレーショナル・エクセレンス(業務の卓越性)
従業員たちは日々、顧客の期待を超えることに努め、競争力・変化対応力向上のため効率性を高め、そして事業の維持・強化に必要な再投資を行っていると記載されています。これらは、特定のプログラム(施策)ではなく、規律ある意思決定の積み重ねであるとも記載されています。
また、CEOは、事業の成功を短期的な結果で評価するのではなく、競争上の地位を維持・強化し、経済的見通しを向上させる長期的な能力によって評価するとのことです。
【原文 日本語訳】
文化と基本価値観
バークシャーの成功は、約40万人の従業員にかかっています。シーズ・キャンディーズからGEICO(ガイコ)に至るまで、バークシャーのあらゆる事業において、またいかなる状況下においても、私たちの文化と価値観を適用しようとする彼らの献身的な姿勢こそが、私たちの前進の核心です。また、私たちの成功は、取締役会のリーダーシップと、私たちの目指す方向性との継続的な調和によっても支えられています。
先月、私は従業員宛てに書簡を送り、バークシャーの文化と価値観は不変であり、永久に続いていくことを強調しました。その際、従業員に伝えたメッセージの全文を、私の個人的な見解を加えて、皆様と共有しておくことが重要だと考えました。私のバークシャーでの経験に基づき、それぞれの価値観が私にとって何を意味するのかを記しています。これらの価値観は個別に列挙されていますが、実際には相互に補強し合う、切り離せないものです。
バークシャー
バークシャーは、資本を合理的かつ効率的に配分するために意図的に設計された、唯一無二のコングロマリットです。保険事業を中核としつつ、その他多くのセクターにわたる事業にも多額の投資を行っています。こうした私たちのアプローチは、株主の皆様の資本の卓越した管理者であり続け、長期にわたってバークシャーの1株あたりの本質的価値の成長を最大化するという目標を支えています。
私たちは、ウォーレン・バフェットと彼のビジネスパートナーであるチャーリー・マンガーが築き上げた偉大な遺産を強化し、卓越性を追い求めることで、その遺産を永続させることを誓います。
私たちの文化
私たちの文化は「パートナーシップの精神」から始まります。株主の皆様は私たちのパートナーであり、その信頼は私たちが獲得したものであり、今後も守り続けなければならないものです。株主の利益は、私たちの意思決定の中心にあります。
この精神は、オマハにあるバークシャーの本社オフィスを大きく超えて広がっています。それは各事業部門にも浸透しており、従業員はオーナーシップ(所有者意識)を持ち、まるで自分自身の資産であるかのように株主の資産を管理しています。私たちは10年単位で考え、規律を持って行動し、約束を厳守します。スチュワードシップ(資産管理責任)は私たちの運営方法に深く根付いており、私たちの文化が単なる信念の集まりではなく、長期的な業績を生み出すための「システム」であることを裏付けています。
2021年5月1日にチャーリーが語った「グレッグなら文化を守り抜くだろう」という言葉は、私の中に永遠に響き続けます。それは、私たちの文化こそが最も貴重な資産であるという再認識であり、バークシャーを定義するものを維持せよという使命であり、そして私たちの文化を確実に永続させるための挑戦でもありました。
私がバークシャー・ハサウェイ・エナジー(BHE)を率いていたとき、その現場レベルでBerkshireの文化が自然に染み込んでいくのを感じていました。資本の配分や潜在的リスクの評価を行う際、ウォーレンの問いかけは常に問題の核心を突くものでした。それに加え、私たちは事業を運営するための真の自律性を任されており、常に顧客に焦点を当て、長期的な視点を持って取り組んでいました。この「オーナーの精神」は、すべてのバークシャーのリーダーに求められるものです。
私たちの基本価値観
以下に挙げる基本価値観は、私たちが全面的に受け入れ、日々実践するよう努めている原則の表明です。
分権型モデル
私たちは各事業会社を率いる最高の経営者を求め、その経営者たちが今度は優れたチームを束ねていきます。私たちの分権型モデルは、信頼を勝ち取った者に自律性を与える仕組みです。官僚主義を最小限に抑えることで、マネージャーたちが自身のビジネスに妥協なく集中できる独立性を与えています。その見返りとして、私たちは業績に対する説明責任と誠実さを求めています。この自律性こそが、並外れた人材をバークシャーに惹きつけているのです。
2018年に私が非保険事業担当の副会長に就任した際、傘下の事業会社のリーダーたちは皆、同様の問いを抱いていました。「分権型モデルや自分たちの責務は変わってしまうのだろうか」というものです。私は彼らに対し、私自身が自律性と説明責任が対となった文化の中で生きてきて、その成果を目の当たりにしてきたと確信を持って伝えました。意思決定は、現場を最もよく理解し、その結果に対して責任を持つ人間が行うとき、より迅速に、より深い知見と強い確信を持ってなされるものです。この方針が変わることはありません。バークシャーのCEOたちが、官僚的な手続きに振り回されたり、短絡的な利益目標を押し付けられて長期的な価値を破壊するような状況に陥ることは決してありません。
私たちの分権的なアプローチは競争上の優位性であり、自律性を尊重し、説明責任を果たせるマネージャーを惹きつけています。バークシャーには、その原則を体現するリーダーが必要であり、個々の都合に合わせて原則を曲げるようなことはあってはなりません。
誠実さ(インテグリティ)
私たちは、「考え、語り、行動する」ことの一貫性によって証明される、誠実な企業としてのバークシャーの評判を維持します。私たちは文化を守るための意思決定を行い、率直かつ透明性を持って対話し、約束を確実に果たします。その結果として得られる評判は、主張して手に入れるものではなく、原則に基づいた行動を積み重ねることで獲得されるものです。すべての行動は、バークシャーに寄せられた信頼をより深めるための、意識的な努力を反映しています。
25年以上にわたり、私たちは年次株主総会のたびに、1991年のソロモン・ブラザーズに関する議会証言でのウォーレンの言葉を収めた映像を流してきました。「会社に損失を与えるなら理解を示そう。しかし、会社の評判をわずかでも傷つけるようなことがあれば、私は容赦しない」と。誠実さに対する私たちの献身は、常に揺るぎなく、妥協のないものでした。誠実さとは棚の上に置いて称賛するような性質のものではなく、日々獲得し、再獲得し、維持されなければならない能動的な資質であることを、私たちは理解しています。
ビジネスには成功もあれば挫折もあります。失敗したときは、それを率直に認めます。正しいことを行うとは、自らの誤りを正すことも意味します。その双方を示す素晴らしい例が、2025年にBNSF(バークシャー傘下の鉄道会社)が、スウィノミッシュ・インディアン部族共同体と長年抱えていた原油輸送に関する紛争を解決した一件です。紛争の引き金となったBNSFの決定は遠い過去のものですが、現在のBNSFのリーダーシップは、対話、理解、そして尊重に根ざしたパートナーシップを築きました。BNSFは過去の誤りを認め、謝罪しました。それが、顧客のニーズを満たしつつ、部族の土地において安全に運営を行うための、相互に利益をもたらす合意への道を開いたのです。
私たちのすべての事業において、私たちは日々、どのように振る舞うべきかを選択しています。私たちには、誠実に振る舞い、正しい行いをする善良な従業員が何十万人もいます。しかし、どんなに大きな組織であっても、ごく少数は私たちの基準を満たせない者が現れます。私たちはそのような振る舞いを容認しません。もし発生した場合は、断固として、容赦なく対処します。
誠実さと評判を守ることは、終わりのない旅です。この取り組みにおいて、私たちが今後も一切の妥協をしないことを、皆様に約束します。
財務の健全性
私たちは要塞のようなバランスシートを維持し、バークシャーの基盤が決して損なわれることのないようにしています。この財務の健全性を守るため、負債の利用は控えめに、慎重に行っています。私たちの潤沢な流動性は、最も過酷な状況下であっても義務を果たすことを可能にし、好機が訪れた際には迅速な対応を可能にします。
私たちは、卓越した財務の健全性を維持することにコミットしています。私たちのバランスシートは、適切なタイミングで活用されるべき戦略的資産です。それは私たちが断固として行動し、他者がためらったり恐怖を感じている時に投資を行い、金融の嵐が吹き荒れる中でも揺るぎなく立ち続けることを可能にします。
私たちは、負債のレベルを限定的に保つことで、バークシャーの財務的レジリエンス(回復力)と独立性を維持します。バークシャーはこれからも、米国および世界の金融システムにとって、頼れる存在であり続けます。現在、私たちの手元現金および米国債の保有額は3,700億ドルを超えています。この資本の一部は保険事業を支え、極端なシナリオからバークシャーを守るために必要ですが、それは同時に、私たちがいつでも活用できる「待機資金(ドライパウダー)」でもあります。
バークシャーのレジリエンス(財務力)を損なうことなく、株主の皆様の資本を投下する機会は、間違いなく今後も少しずつ現れるでしょう。私の役割は流動性の水準と資本投下を管理することです。その判断は常に意図的かつ熟慮されたものとなります。私たちは常に、米国債を保有するよりも、生産的な事業を所有することを目指していきます。
資本の規律
私たちは、リスクに対して十分なリターンが期待できる機会にのみ、株主の資本を投じます。既存事業の拡大、新規事業の買収、株式投資、そして自社株買いを行う際、私たちはそれぞれの機会を「バークシャーの1株あたりの本質的価値を、永遠に続く時間軸の中でいかに成長させられるか」という観点から評価します。
バークシャーには、投資機会を見極めるための明確な判断基準があります。
- 永続的な優位性と長期的な経済的見通しを持ち、私たちが完全に理解している事業に投資する。
- 顧客を理解し、オーナーのように行動する、高い誠実さを持ったリーダーと提携する。
- 人々の信頼や絆を壊すような事業、つまり私たちの評判を危うくする可能性のある事業を避ける。
- 迅速に行動し、少数の確信度の高いアイデアに資本を集中させる。
- 規律を維持し、複利の効果が発揮されるのを待つ。
これらの基準により、私たちは持ち込まれる機会を効果的かつ効率的に評価できます。その巨大な規模にもかかわらず、私たちは機敏な文化を誇りとしており、大規模な投資機会であれば機密保持を前提に共有いただければ、迅速な回答を約束します(私たちが気に入れば、資金調達の条件も付帯させません)。私たちの原則に合わないものには即座に「ノー」と言い、合致するものだけを追求します。後者よりも前者が圧倒的に多いことは承知の上です。
バークシャーの歴史の中で、潤沢な手元現金が投資からの撤退を意味しているのではないかと観測筋から指摘されることが何度もありました。しかし、そうではありません。私たちは現在も多くの機会を評価しており、株主の利益のために適切な機会を追求するにあたって、忍耐強く、規律を守り続けます。
2025年、こうしたアプローチの結果として、バークシャーは性格の大きく異なる2つの企業、オクシケム(OxyChem)とベル・ラボラトリーズ(Bell Laboratories)の買収を発表しました。
オクシケムは経営状態の良い工業用化学品メーカーです。私たちがこの会社を知ったのは、オクシデンタルへの投資がきっかけでした。代替品がない塩素と苛性ソーダは、建設業をはじめとする基幹産業に欠かせない素材で景気に関わらず需要が続きます。経営陣は量より効率を重視します。一貫した生産体制と安価な原材料調達がその経営を下支えしています。バークシャーにとってこれは、魅力的な事業ポートフォリオへの追加であり、キャッシュフローをもたらすことを意味します。
昨年、ウォーレンのもとにベル・ラボラトリーズのCEOであるスティーブ・レビーから手紙が届きました。手紙の内容はシンプルでした。創業者マルコム・スタック氏の娘たちが所有するこの家族経営の会社を、ぜひ見てほしいというものでした。レビー氏はその会社の経営を任されています。スティーブの手紙は完璧でした。ベル・ラボラトリーズは、げっ歯類の駆除という持続的なニーズに応えています。スティーブの言葉を借りれば、同社は「高い営業利益率、非常に優れた過去の成長と将来の成長ポテンシャル、理解しやすく常に必要とされる事業、そして強力な経営チーム」を誇ります。私たちの言葉で言えば、「優れた経営者が運営する、永続的な優位性と長期的な経済的見通しを備えた事業」です。唯一心残りなのは、同社が10倍の規模であればよかったということです。
これらの投資は、バークシャーの強力な事業群に加わります。その一部はわずかな追加投資しか必要とせず、超過利益をバークシャーに還元します。一方で、時間をかけて複利で成長する魅力的な投資機会を提供する事業もあります。
自社株買いも、もう一つの重要な資本配分の選択肢です。私たちは、保守的に算定した本質的価値よりも低い価格でバークシャー株が取引されているときに買い戻しを行い、継続保有する株主にとっての1株あたり価値が確実に高まるようにします。また、機会があれば、大口株主から直接大規模なブロック株を購入することもあります。これらの購入により、株主は追加の資本を投じることなく、バークシャーの事業の持分を段階的に増やすことができます。
現金配当に対する私たちのアプローチは引き続き、「内部留保した1ドルが1ドル以上の価値を生み出せる間は、配当より再投資を選びます。」という方針です。取締役会は毎年この方針を見直しています。
私たちの資本の規律は、企業全体を買収する場合であれ、上場企業の株式の一部を購入する場合であれ、あるいは自社株買いを行う場合であれ、常に私たちを導きます。このアプローチは、手元現金や米国債の保有規模に関わらず維持されます。私たちは慎重に価値を評価し、忍耐強く行動し、長期間(できれば永遠に)保有し続けます。
リスクマネジメント
私たちはリスクを特定し、組織全体で引き受けるリスクの総量を意図的にコントロールしています。リスク管理は各事業に委ねています。だからこそ、それぞれの規模や複雑さに合った対応ができます。焦点を当てるのは、バークシャーの評判・財務的強靭さ・長期的な機会を実現する能力を脅かすリスクです。だからこそ、リスクマネジメントはバークシャーの経営の核心です。CEOがチーフ・リスク・オフィサーを兼務するのも、それ以上に重要な職務はないからです。その責任を果たすための重要な要素は、チームに最高の人材を擁することです。
その最たる存在がアジット・ジェインです。リスクの管理と価格設定における彼の厳格さは、保険業界の基準そのものです。いかなる契約も法的申し立ての対象となる可能性があり、新しい補償範囲は特に危険を伴います。私たちは、最終的なコストが何年も経たなければ確定しないリスクに対して、今日価格を設定しなければなりません。だからこそ、保険リスクの価格設定を正確に行うことが不可欠です。不確実性への対価が十分でないと判断した場合は、迷わず手を引きます。このアプローチは私たちの保険事業の核であり、アジットはそれを実践することにおいて、まさに比類なき存在です。その結果、当社の保険事業は世界的なパワーハウス(強大な組織)となり、他社が引き受けられないリスクを受け入れ、躊躇なく保険金を支払うことができます。比類なき財務力があるからこそ、私たちは引き受けたリスクを自分たちで抱えられます。再保険会社に利益を渡す必要がないため、その分の利益がそのままオーナーのものになります。
もちろん、リスクを理解し管理することは、非保険事業にとっても不可欠です。各事業は、新規または追加の機会を追求する前に、独自の具体的なリスクを徹底的に評価し、新たなリスクに対する計画を立てなければなりません。
すべての事業において、私たちの責任はリスクを理解し、主体的に管理することです。
オペレーショナル・エクセレンス(業務の卓越性)
私たちは、展開する各事業においてオペレーショナル・エクセレンスを追求しています。従業員たちは日々、顧客の期待を超えることに努め、競争力と変化への備えを高めるために効率を磨き、そして事業の維持・強化に必要な再投資を着実に行っています。私たちは、業績が年ごとに変動することを認識しています。そのため、事業の成功を短期的な結果で評価するのではなく、競争上の地位を維持・強化し、経済的見通しを向上させる長期的な能力によって評価します。
バークシャーにおけるオペレーショナル・エクセレンスとは、特定のプログラム(施策)ではありません。それは、各事業における規律ある意思決定の積み重ねによってもたらされるものです。その取り組みは「安全」から始まり、日々の顧客へのサービス、製品づくり、そして競争のあり方に至るまで徹底されています。
2025年2月、ペンシルベニア州ジェンキンタウンにあるプレシジョン・キャストパーツ(Precision Castparts)社の工場で発生した大規模火災への対応は、バークシャーの最高の姿を示すものでした。敷地内にいたすべての従業員が安全に避難しました。その後、チームは緊急通報を受けて駆けつけた消防などの初動対応者と緊密に連携し、敷地のレイアウト図を提供して潜在的な危険箇所を特定しました。鎮火後、プレシジョン・キャストパーツ社は地元のボランティア消防隊を支援し、市を援助し、広範な環境テストを実施して周辺地域の安全を確認しました。
同時に、この火災は深刻な操業上の課題をもたらしました。この工場では、主要な航空宇宙分野の顧客にとって不可欠であり、かつ単独調達(代替のきかないサプライヤー)となっている700以上の部品を製造していたからです。プレシジョン・キャストパーツ社のCEOであるマーク・ドネガンと彼のチームは、安全、品質、あるいは納期基準を一切妥協することなく、米国および海外の拠点へ迅速に生産を再配分しました。その結果、生産ラインの停止を経験した顧客は一社もありませんでした。この出来事は、私たちのビジネスモデル(分散型のリーダーシップ、明確な責任、そしてプレッシャー下における並外れた実行力)が機能していることを如実に物語っています。
日々の卓越性の追求に終わりはありません。顧客、効率性、そして継続的な改善に焦点を当てることで、私たちは長期的な価値を創造します。
ここに挙げた基盤となる価値観が一体となってバークシャーを築き上げ、これからの数十年にわたり私たちが成功するための備えとなっています。今年は6つの価値観を本文で明示しましたが、来年以降は添付資料として掲載します。そして毎年のレターでは、これらの価値観をバークシャー全体でどう実践したかを報告していきます。
これらの価値観がもたらす影響は、今日の各事業の業績(オペレーティング・パフォーマンス)にも非常にはっきりと表れています。